平成27年6月8日に「帳簿の世界史」(ジェイコブ・ソール著、村井章子翻訳 株式会社文芸春秋)を題材に社内研修を行いました。

 

 

―本書要約―

 

本書でたどってきた数々の例から何か学べることがあるとすれば、会計が文化の中に組み込まれていた社会は繁栄する、ということである。

ルネサンス期のイタリアの都市ジェノヴァやフィレンツェ。黄金時代のオランダ。18世紀から19世紀にかけてのイギリスとアメリカ。

本書で取り上げたこれらの社会では、会計が教育に取り入れられ、宗教や倫理思想に根付き、芸術や哲学や政治思想にも繁栄されていた。

たとえばオランダでは、会計責任は単なる職業倫理でもなければ、一宗教集団の信条でもなく、文官のさまざまな面に深く根を下ろしていた。オランダ人は学校で会計を学び、職場や家庭で実践し、信仰の一環として会計責任を教えられた。さらに、美術作品の背景や聖書のメッセージからも会計の堕落に対する警告を読み取った。政治家は会計や責任の重要性を論じ、政治的パンフレットは監査の必要性を訴えた。そして社会的地位の高い者は、市長から王侯貴族の教育係にいたるまで、会計の知識を備えていることを市民から期待されていたし、基本的な会計責任が共和国にとってどれほど重要かを当人も熟知していた。

今日の脆弱な高度金融社会で会計が日常生活から切り離された結果、人々の関心は薄れ、多くを期待しなくなってしまった。かつて社会は、財政に携わる人に対し、会計を社会や文化の一部とみなすように求め、帳簿に並ぶ無味乾燥な数字からでさえ、宗教的・文学的意味を読み取っていた。いつか必ず来る清算の日を恐れずに迎えるためには、こうした文化的な高い意識と意志こそを取り戻すべきである。

 

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