平成27年6月15日に「モチベーションの科学 知識創造性の高め方」(森信 茂樹著)を題材に社内研修を行いました。

その社内研修で扱った内容を次のようにまとめましたので、興味のある方は読んでみてください。

 

【本書の概要】

1.フロー

⑴フロー

フローは、行為者をその活動に完全に没入させてしまう働きがあり、その瞬間、その活動は絶えず挑戦を提供する。これから起こることと起こらないことに対して、退屈や心配を感じる時間がない。このような状況のもとでは、人は必要とする技能を、それがどのようなものであれ、フルに働かせることができ、自分の行為から明瞭なフィードバックを受けとる。したがって、行為者は筋の通った因果関係の中にあり、そこで行為者が行うことは、現実的で予測観桜な結果を伴う事になる。(ミハイ・チクセントミハイ「楽しみの社会学」より)

⑵フローに導く環境と要素

ある難易度を伴った行為に対し、行為者がその行為を遂行するのにちょうど最適な能力を備えているときに、フローが得やすい。

 

2.内発的モチベーション

⑴内発的モチベーション

個人が活動そのものに引きつけられ行動する状態を指し、活動自体の楽しさ、達成感、自己の成長など内部から得られる報酬によって動機づけられた状態。

⑵外発的モチベーション

外的な報酬や強要、制約によって引き起こされる動機づけであり、主に金銭や褒章、顕彰、評価、名声、叱責、罰則など外部から与えられる報酬や罰によって動機づけられた状態。

⑶内発的モチベーションを高める3つの鍵

自律性(自分の行動は自分で選択しているという実感)

有能感(自分は有能であるという実感)

関係性(人と一緒にものごとに取り組んでいる、あるいは共有しているという実感)

 

3.公正理論

⑴公正理論

人は自分が仕事に投入したものすべて(インプット)と仕事から得たものすべて(アウトカム)の割合と、他者が仕事に投入したインプットと仕事から得たアウトカムの割合を比較して、この両者の比率が同じだと感じたときに公平感を感じ、モチベーションを向上させる。(ジョン・S・アダムス)

⑵期待理論

人が発揮する努力は、その努力の結果として得られる報酬に対する主観的価値と、その報酬を得ることができると思われる期待または主観的確率の関数として表わされる。(ビクター・ブルーム他)

⑶公平感を感じる要件

①手続き的公正

②分配的公正

 

4.競争の功罪

⑴メリット

①短期的な集中力が高まる。

②生産性が向上する。

③結果を出すスピードが高まる。

④競争者の管理がしやすくなる。

⑤目標を明確化・共有化しやすい。

⑵デメリット

①協調関係が構築されにくい。

②一定数以上の参加者がいないと成立しない。

③多くの敗者を生む。

④競争以外の重要な要素が軽視される。

⑤他者との相対的な比較が重視されるため、絶対的な成果は軽視される。

⑶実証研究に基づく興味・関心や有能感と競争意識との相関関係

①学習に対する興味・関心や有能感が高い場合

競争意識は学習効果を阻害する要因となる。

②学習に関する興味・関心や有能感が低い場合

競争意識が学習効果に対し有意に働く。

 

5.2要因理論(満足要因と不満足要因の異次元性)

⑴職務満足度に貢献する5つの要因

①達成

②承認

③仕事そのもの

④責任

⑤昇進

⑵満足要因と不満足要因の相関関係

不満足が解消されても満足度アップする事はない。不満足と満足は同一線上にない。

6.無力感

⑴無気力状態になってしまう原因

人は自分の行動とは関係なく、コントロールできない刺激、深い、経験を与えられると、無気力な状態になる、このことは、報酬や成功に置き換えても同様である。

⑵無気力状態を回避する

原因帰属を自分のコントロール可能な要因として帰属させる。

⑶無気力状態になってしまったら

モチベーションを外発的動機づけから内発的動機づけにシフトする。

⑷もう一つの無気力状態:万能感

自分では何でもできるかのように思っている状態のこと。

 

7.チャレンジ精神と欲求理論

⑴モチベーションの分類

①達成動機

成功から得られる報酬よりも、自身がそれを成し遂げたいという欲求。

②パワー動機

人に影響を与えたい、他者にインパクトを与えコントロールしたいという欲求。

③親和動機

人から好かれたい、人と仲良くしたい、人からよく見てもらいたいという欲求。

⑵分類ごとの特徴

①達成動機

イ個人的な進歩に最大の関心があるため、何事も自分の手でやることを望む。

ロ中程度のリスクを好む。

ハ自分が行ったことの結果について迅速なフィードバックを欲しがる。

②パワー動機

イ責任を与えられることを楽しむ。

ロ他者から働きかけられるよりも、他者をコントロール下におき影響力を行使しようとする。

ハ競争が激しく、地位や身分を重視する状況を好む。

ニ効率的な成果よりも信望を得たり、他者に影響力を行使することにこだわる。

③親和動機

イ心理的な緊張状況には1人では耐えられなくなる傾向がある。

ロ行動や評価が個人ごとに行われるような、一匹狼的な活動には強いストレスを感じる。

ハ他者との交友関係を作り上げることについて極めて積極的な人と、そうでない人がいる。

⑶チャレンジ精神を阻害する6つの要因

①ある程度欲しいものや報酬に満足していると、今以上にリスクを犯してチャレンジする必要がない。

②チャレンジに成功して得るものよりも、失敗して失うものの方に、より強い関心が向いてしまう。

③異質を排除しようという空気感。横並び主義。

④チャレンジ精神も創造性も、規定された枠組みの中で発揮される。

⑤自分に不利益な選択を与えられたとき、人はみずから選択したことを後悔したり、選択そのものを避けるような心理作用が働く。

⑥もはや個人が意欲を燃やして挑んでもどうしようもない。

 

8.モチベーションマネージメント

⑴外的報酬の短期的効果と長期的効果を使い分ける

直接的な金銭的報酬はもっぱら短期的なパフォーマンスの向上に資するものの、長期的なパフォーマンスの向上には効果がない。

向上させたいパフォーマンスが短期的なものか長期的なものか判断した上で、それぞれ異なった外的報酬の設定を行う。

⑵マルチタスク問題に対応する

複数の業務を担っている従業員に対し、そのうちの一部の成果によってのみ報酬を与えることで、報酬が設定された業務にばかり労力をつぎ込むようになる。

引き出したいパフォーマンスに対し直接的に報酬を設定する。

⑶主導的指標を活用する

成果に連動させにくいタスクについては、客観的指標より主観的指標を導入する。

アンケート、上司からのモニタリング、動力からの評価。

⑷中程度の難易度の目標を設定する

⑸チームを導入する

共通の目標に向かって互いに協力、サポートし合う。

⑹相対的評価と絶対的評価のバランスを確保する

⑺報酬の支給方法、タイミング、強度を考える

①短期的な成果に対する報酬

固定給(昇給)、業績給

②長期的な成果に対する報酬

持株制度、ストックオプション制度

⑻プロセス評価を導入する

(萩内)