2020.12.14国庫補助金等の会計処理について 税務
国庫補助金等の会計処理について例題を7つ作成いたしました。
前提として、個人法人とも消費税の課税事業者であり税抜処理を採用している。金額は全て税込金額で記載している。法人は3月決算である。圧縮記帳ができるものは全て圧縮記帳を適用したのちの取得価額を基準とする。
問題 1
株式会社Aが、機械装置を導入するにあたり国から補助金を受けることとなった。機械装置の本体価額は6,600,000円、設置費用として550,000円、試運転費用として220,000円かかった。補助金は確定通知通り期中に2,000,000円振り込まれた。
機械の取得価額はいくらになるか。あわせて、別表13(1)も作成すること。
回答
➞ 付随費用を取得原価に参入したか否か。
機械装置 6,700,000 / 現金預金 7,370,000
仮払消費税 670,000 /
固定資産圧縮損 2,000,000 / 機械装置 2,000,000
- 6,700,000 - 2,000,000 = 4,700,000
問題 2-1
建設業を行っている個人事業者のBさんが令和2年7月に2,200,000円のユンボを導入した。12月末までに県からの補助金500,000円の決定通知は届いているが確定通知は届いていない。
耐用年数6年 定額法償却率0.167 定率法償却率0.333の場合今期の償却費はいくらになるか。
回答
➞ 先行取得の圧縮記帳。過年度の償却費相当額を圧縮記帳していないか否か。
(2-1)
機械装置 2,000,000 / 現金預金 2,200,000
仮払消費税 200,000 /
- 確定通知書が届いていないことから、権利未確定となり圧縮記帳はできない。
2,000,000 × 0167 × 6/12 = 167,000
問題 2-2
令和3年1月に確定通知が届き、Bさんの銀行口座に500,000円の入金があった。
令和3年の申告で総収入金額に算入しない補助金の金額はいくらになるか。なお、令和3年1月の減価償却は考慮しない。
回答
- 補助金50万円に対応する機械装置200万円のうち、既に償却をしている167,000円部分については圧縮記帳を行うことが出来ない。したがって…。
1,833,000 × 500,000 / 2,000,000 = 458,250円
~イメージ~
500,000 × 1,833,000 / 2,000,000 = 458,250円
(補助金) (未償却残高割合)
問題 3
製造業の株式会社Cが工場を建てるにあたり、市から工場用地を時価より低い価額で購入することとなった。購入価額は40,000,000円(時価100,000,000円)で、支払いは全額銀行預金から行った。
この場合の仕訳を示せ。
回答
➞ 土地を時価で計上できたか否か。国庫補助金等に気づいたか否か。
土地 100,000,000 / 現金預金 40,000,000
国庫補助金等 60,000,000
固定資産圧縮損 60,000,000 / 土地 60,000,000
- 工場誘致等のために土地を著しく低い価額で取得することがある。この場合土地を時価したうえで。時価と実際取得価額との差額については国庫補助金等(市からの利益供与)であることからこの部分について別表13を用いて圧縮記帳を行う。
~ダメなパターン~
土地 60,000,000 / 現金預金 60,000,000
- 結果的には同じように思えるが、後日税務調査で判明した場合には、法人税法上は土地を時価で計上しなければならないため別表4で「土地計上もれ 60,000,000(加・留)」される。なお、この場合には別表13がないため圧縮記帳はできない。
問題 4
医療法人社団Dが利用者の送迎用に福祉車両を購入した。本体価格は5,000,000円、カーナビ費用が110,000円である。日本財団より4,500,000円の助成を受けた。
車両の取得価額はいくらか。
回答
➞ 日本財団は国等には当たらないことから、日本財団からの助成は国庫補助金等の圧縮記帳の対象とならない。
➞ 福祉車両は消費税が非課税となる。
車両運搬具 5,100,000 / 現金預金 5,110,000
仮払消費税 10,000 /
- 圧縮記帳はできない。
- 車両運搬具の取得価額
5,000,000円(車両本体、消費税非課税)
100,000円(カーナビ、消費税抜き)
5,100,000円
問題 5
認定農業者のEさんが経営継続補助金に応募し、採択された。計画の通り、機械装置に1,540,000円、販路拡大のために一般経費440,000円、保存用冷蔵庫に220,000円の取組を行い、完了報告を提出した。12月末日において補助金1,000,000円の入金はまだされていないが、確定通知は受け取っている。
確定申告において総収入金額に算入しない補助金の金額はいくらか。あわせて、国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書も作成すること。冷蔵庫は中小企業等の少額減価償却資産の特例を適用する。
回答
➞ 圧縮記帳対象資産の選別が出来たか否か。
- 一般経費及び保存用冷蔵庫(少額)は固定資産とならないため圧縮記帳はできない。
1,400,000 × 1,000,000 / 2,000,000 = 700,000円
~イメージ~
1,000,000 × 1,400,000 / 2,000,000 = 700,000円
(補助金) (資金用途のうち機械装置の額)
問題 6
農地所有適格法人である株式会社Fがトラクターを導入した。本体価格3,300,000円、運搬費550,000円である。県から補助金1,500,000円を決定通知は届いているが、期末までに確定通知は受け取っていない。
中小企業投資促進税制の税額控除を適用しようと考えているが、トラクターの取得価額はいくらで計算するのが正しいか。
回答
➞ 税額控除適用する機械装置につき補助金部分を見積計上で除外できたか否か
税額控除の対象となるトラクターの取得価額は2,000,000円となる。
問題 7
株式会社Gは、国庫補助金として機械装置の交付を受けた。機械装置の時価は5,000,000円である。
この場合の仕訳を示せ。
回答
機械装置 5,000,000 / 国庫補助金等 5,000,000
固定資産圧縮損 4,999,999 / 機械装置 4,999,999